深夜ぶろぐ便

深夜ぶろぐ便

ほろ酔いで

ほろよいで

夢見れば 想い出は美しく

時はすべてを許し

やさしさにかえてゆく

傷ついた青春も

泣きぬれた恋人も

みんな化石の花になる

すべてのものが

やがて むくわれ

すべてのものが

いつか 救われる

時代は変わり 陽は降り注ぐだろう

生きてゆけぬと 

泪するひとにも


哀しみはいつだって

幸せな日々を選び

風のように あらわれて

夢のように 消えてゆく

ひたすらに 流れてゆけ

ささやかな人生よ

せめてもどらぬ運命なら


人も 願いも やがて去りゆき

季節は変わり いつかめぐり合う

風の流れに 見え隠れしながら

波間に漂う 花びらのように

すべてのものが

やがて むくわれ

すべてのものが

いつか 救われる

時代は変わり 陽は降り注ぐだろう

波間漂う、花びらの上にも


河島英五 「 ほろ酔いで 」 1993


© Rakuten Group, Inc.